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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)5990号 判決 1972年9月12日

原告

西沢孝二

右訴訟代理人

成瀬寿一

丸山英敏

被告

古田愛

右訴訟代理人

城戸寛

被告

渡辺誠蔵

被告

大阪トヨぺット株式会社

右代表者

大西四郎

右二名 訴訟代理人

真砂泰三

岩崎英世

小原邦夫

主文

一、被告古田愛は原告に対し、金一一、〇〇〇、〇〇〇円および内金九、五〇〇、〇〇〇円に対する昭和四六年二月一九日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二、原告の被告渡辺誠蔵、同大阪トヨペット株式会社に対する請求はいずれも棄却する。

三、訴訟費用は、原告と被告古田愛との間に生じたものについては同被告の負担とし、原告と被告渡辺誠蔵、同大阪トヨペット株式会社との間に生じたものについては全部原告の負担とする。

四、この判決の第一項は仮りに執行することができる。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、請求の趣旨

(一)  被告らは各自、原告に対し金一一、〇〇〇、〇〇〇円および内金九、五〇〇、〇〇〇円に対する、被告古田愛については、昭和四六年二月一九日から、同渡辺誠蔵、同大阪トヨペット株式会社については昭和四五年一二月一日から、各支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決ならびに仮執行の宣言。

二、請求の趣旨に対する答弁

(一)、原告の請求を棄却する。

(二)、訴訟費用は原告の負担とする。

との判決。

第二、当事者の主張

一、請求原因

(一)  事故の発生

発生時 昭和四四年一一月四日午前四時二五分ごろ

発生地 大阪市天王寺区上本町六丁目三番地先、交差点東南角、殖産住宅ビル前

事故車 普通乗用自動車(大阪五ぬ六八四六号)

右運転者 被告古田愛(以下被告古田という)

被害者 原告

態様 原告が事故現場道路端を歩行中、事故車の左前部が衝突し、同人を殖産住宅ビルのコンクリート柱に狭撃した。

(二)  責任原因

1 被告古田の責任(自賠法三条、民法七〇九条)

被告古田は後記2記載のとおり、道路上に駐車中の事故車の三角窓をドライバーでこじあけ、電源を直結にするなどの方法で窃み出し、同車を自己の運行の用に供して運転中本件事故を惹起したものであつて、同被告は自動車運転の免許を持たず運転技術も未熟であるから自動車を運転してはならないのにあえてこれを運転し、また前記事故現場交差点を左折するにあたり、運転者としては、徐行して道路上の歩行者等に衝突しないようにハンドルおよびブレーキ操作をして進行すべき注意義務があるのに、これを怠り漫然時速五〇粁の高速のまま急激に転把して左折しようとしたため道路端を歩行中の原告をはねとばしたもので、右は同被告の過失によるものである。よつて、同被告は自賠法三条により原告に生じた損害を賠償すべき責任があり、仮にこれが認められないとしても民法七〇九条により同様の責任を負うものである。

2 被告渡辺誠蔵の責任(自賠法三条、民法七〇九条)被告渡辺誠蔵(以下被告渡辺という)は事故車を所有し、これを自己の運行の用に供していたものであるから自賠法三条により原告の損害を賠償する責任を負う。

仮にこれが認められないとしても、同被告は次の不法行為により同様の責任を負うものである。

すなわち同被告は事故車を自己の勤務先である被告会社から購入し、自己の職務のため使用していたが勤務が終るとこれを被告会社内の車庫に格納し通勤には使用していなかつた。ところが本件事故前日には仕事の都合で自宅に運転して帰り、同日午後七時ごろから、自宅から約二〇〇米離れた大阪市阿倍野区西田辺町一丁目九番地先道路上に長時間駐車して置いたところ前述のように被告古田によつて盗取されたものである。右駐車場所は附近に早川電気株式会社の工場や公園、溜池等があり夜間は人や車の通行も少なく、自動車の盗難事故の多い場所である。被告渡辺はかゝる場所に「自動車の保管場所の確保等に関する法律」五条二項二号に違反して夜間長時間にわたつて駐車していたのみでなく、ドアは勿論三角窓等の施錠を完全にし、幌をかぶせるなどの処置をとらなかつたものである。もし三角窓を完全に戸締りしておけば外部からドライバーでこじあけることは不可能であり、このことから同被告が三角窓を完全に戸締りしておらなかつたことは明らかである。道路上に夜間長時間にわたりドアの戸締りを完全にせず駐車しておけば他人によつて無断運転されたり、その他なんらかの不測の事故の発生するおそれは多分にあるのであるから、自動車の管理者としては、必ずドアは完全に締めその他必要の処置をとつて事故の発生を未然に防止するように注意する義務がある。同被告は右注意義務を怠つたため、被告古田によつて事故車を窃取され、その結果本件事故が発生したのであつて今日の都会地におけるいわば危険の充溢した道路交通事情のもとでは、無断運転者が交通事故を起し第三者に損害を与えるおそれの多いことは相当の注意をもつてすれば予測できるところであるから、右被告渡辺の自動車管理上の過失と本件事故による原告の損害との間には相当因果関係がある。

3、被告会社の責任(自賠法三条、民法七〇九条、七一五条)

本件事故車は被告会社に業務用の自動車の数が不足していたところから被告渡辺に、被告会社のセールス業務に使用させるために一般顧客に対する値段の約三割安い価格でローンを利用して購入させた(事故当時右代金は未だ完済していなかつた)もので、その所有名義は被告会社のまゝであり、同車の任意保険料、ガソリン代、駐車料金等はすべて被告会社が負担し、車庫も被告会社の建物の中にあつたものであるから被告会社は本件事故車の運行供用者として原告の損害を賠償する責任を負うものである。

仮にこれが認められないとしても被告会社は被告渡辺が仕事の都合上、事故車を車庫に入れず、前記のとおり帰宅時に乗つて帰り、自宅附近の道路上に駐車しておくことを黙認していたものであるから、前記渡辺同様、事故車の管理保管義務に違反する過失があつて自己の不法行為による責任を負うだけでなく、また被告渡辺の使用者であつて前記同被告の不法行為は被告会社の業務に関してなされたものであるから被告渡辺の使用者として原告の損害を賠償すべき責任がある。

(三)  損害

1 受傷(傷害の内容、治療および期間、後遺症)

(1) 傷害の内容

原告は本件事故により、左大腿広汎性挫滅創、左下腿広汎性粉砕骨折挫滅創及び神経血管切断創、左側股部腰臀部打撲創、頭部外傷第二型、頸部挫傷等の傷害を受けた。

(2) 治療および期間

原告は、右傷害治療のために入院一〇四日間、通院一四三日を要した。

(3) 後遺症

左下腿膝下一一糎で切断し、一下肢を足関節以上で失つた後遺症がある。

2 療養関係費 六〇二、八七七円

(1) 辻外科入院治療費

五五四、七七七円

(2) 義足代 四八、一〇〇円

3 逸失利益

(1) 職業および収入

原告は本件事故当時二四才であり大阪でも一流の寿司店富喜寿司に見習として勤務しておりまもなく見習を終了して調理師として月六〇、〇〇〇円の給料で就職できることは確実であつた。

(2) 過失利益額

一二、四二七、三三三円

(イ) 休業損害

原告は前記入、通院期間(二四七日間)中は全く就労することができず、そのため三〇六、七七四円の得べかりし収入を失つた。

(算式一二四二円×二四七日=三〇六、七七四円)

(ロ) 将来の逸失利益

原告は事故当時満二四才であつたからなお三九年間就労することができたはずであるが、前記後遺症により七九%の割合による労働能力を喪失したので右期間中、前記収入の七九%の割合による得べかりし利益を失つたものである。よつて右逸失利益の現価を求めると一二、一二〇、五五九円となる。

(算式60,000円×12月×0.79×21.309=12,120,559円)

4 慰藉料

原告は前記傷害および後遺症のために調理師の職業を今後継続して行くことはきわめて困難であり、近くアメリカへ留学する予定もあつたが本件事故のために断念せざるを得なくなつた等、大きな精神的苦痛を受けた。よつてその慰藉料は二、九三〇、〇〇〇円が相当である。

5 弁護士費用

一、五〇〇、〇〇〇円

(四)  本訴請求

よつて原告は被告らに対し、(三)の2ないし5の合計額一七、四六〇、二一〇円の内金一一、〇〇〇、〇〇〇円および右金員から(三)の5の弁護士費用を控除した残額九、五〇〇、〇〇〇円に対する本件訴状送達の翌日である被告古田は昭和四六年二月一九日から、被告渡辺、被告会社は昭和四五年一二月一日から各支払ずみに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二、請求原因に対する認否

(被告古田)

(一) 請求原因(一)の事実はすべて認める。

(二) 同(二)の1の事実はすべて認める。

(三) 同(三)の事実のうち1の(2)(3)の事実および3の(1)のうち原告が事故当時満二四才であり富喜寿司の調理師見習であつた事実のみを認め、その余は不知。

(被告渡辺および被告会社)

(一) 請求原因(一)の事実は不知。

(二) 同(二)の2および3の事実のうち、被告渡辺が被告会社の被用者である事実および事故前日、事故車を自宅に運転して帰り駐車しておいたところ被告古田に盗まれた事実は認めるが、その余の事実は不知。

通常、路上駐車した車が盗まれることは予期しえないことであり、更に盗まれた車が事故をおこすことに至つては全く予期し得ないものであるから、本件事故と路上駐車とは相当因果関係はなく共に不法行為責任は負わない。

(三) 同(三)の事実は不知。

三、被告渡辺および被告会社の抗弁

被告渡辺は本件事故車のドア、窓などを完全に施錠して駐車していたものであるが、被告古田は事故車の三角窓をドライバーでこじあけて、そこより手を入れてドアーを開け、電源を直結してエンジンを始動させて盗み出し、自己のほしいまゝに運転していたものであり、事故車が窃取された後には被告渡辺および被告会社の事故車に対する運行支配および運行の利益は全く排除されていた。

よつて、被告渡辺および被告会社は運行供用者ではなく、自賠法三条の責任を負わないものである。

第三、証拠<略>

理由

第一、事故の発生

請求原因(一)の事実は原告と被告古田の間においては争いがなく原告と被告渡辺および被告会社の間においては、<証拠>により原告主張どおりの事実が認められる。

第二、被告らの責任

一、被告古田の責任

請求原因(二)の1の事実は原告と被告古田との間においては争いがない。従つて被告古田は自賠法三条に基づき、本件事故によつて生じた原告の損害を賠償する責任がある。

二、被告渡辺および被告会社の責任

被告渡辺が被告会社の被用者であること、および被告渡辺が事故前日事故車を自宅に運転して帰り駐車しておいたところ被告古田に盗まれたことは当事者間に争いがない。<証拠>を総合すると、被告渡辺は被告会社生野営業所に勤務し、自動車販売を担当するセールスマンであつたこと、被告会社にはセールス業務用の自動車が不足していたので被告渡辺は昭和四四年二月ごろ、被告会社より自己の業務に専用する目的で本件事故車(中古車)を月賦支払の約束で購入しその後、本件事故当時まで被告会社の業務のために使用していたこと、右購入価格は被告渡辺が被告会社の従業員であり会社の仕事のため使用するものであつたから一般販売価格よりも約一〇〇、〇〇〇円安く二六五、〇〇〇円であつたこと、同車のガソリン代、修理代および任意保険料金は被告会社が負担していたこと。

事故車の車庫は被告会社の建物の中にあり被告渡辺は通常勤務が終ると事故車を右の車庫に入れて電車で通勤していたのであるが、仕事の都合上、月に三、四回は自宅に乗つて帰り翌朝まで自宅附近に駐車していたこと、被告会社は被告渡辺が自動車を自宅に持帰るのを別段禁じてはいなかつたこと、事故前日も仕事の都合上自宅に乗つて帰り午後七時ごろ自宅から約八〇米離れた大阪市阿倍野区西田辺町一丁目九番地先の幅員約六米の道路上の既に駐車してあつた他の軽四輪自動車五、六台の間に、幌はかぶせなかつたが、エンジンキーは外し各ドアおよび三角窓に施錠した上翌朝まで置いておくつもりで駐車しいたこと。

被告古田は友人の訴外木村忠輝、同馬原秀人、同加藤田某と共に自動車を盗んでドライブをしようと考え適当な車を物色中事故当日の午前二時ごろ事故車を見付け運転手側三角窓をドライバーでこじあけ、手を差し入れてドアを開いて同車に乗り込み、ラジオペンチとドライバーを使い、電源を直結してエンジンを始動させて盗み出し被告古田がこれを運転中、大阪城入口附近でパトカーに検問されそうになつたので逃げる途中に本件事故を発生させたことが認められ、他に右事実を覆すに足りる証拠はない。

(一)  被告会社の運行供用者責任の有無

右認定事実によれば被告渡辺および被告会社は共に事故車を自己の運行の用に供していたものというべきであるが、右両被告とはなんらの関係のない被告古田に窃取され二時間余り無断運転されたことによつて被告渡辺および被告会社の事故車の運行による利益および運行に対する支配は排除されており右両被告が本件事故時において事故車を自己のため運行の用に供していたと認める余地はなく、右両被告には自賠法三条による責任はない。

(二)  被告渡辺および被告会社の自動車の管理上の過失に基づく責任の有無

前記認定事実によれば被告渡辺は事故車を駐車するに際して、エンジンキーを点火装置から外し、ドア、窓を完全に施錠したのであつて、盗難ないしは無断運転されることを防ぐための管理義務は一応果したものというべきである。かゝる場合なおドライバーで三角窓をこじあけ、エンジンを直結して盗まれさらにその結果交通事故を起されることまでは普通に予測し得るものとはいい難い。原告は右駐車の場所は盗難事故の多い所であつたと主張するが右事実を認めるに足る証拠はない。また原告は事故車に幌をかぶせなかつたことも過失の一つに数えるが、幌をかぶせることによつて窃取を困難にするわけでもないから右主張も採り得ない。

さらにまた原告は、自動車の夜間長時間駐車は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」によつて禁じられているところであり、これに違反した被告渡辺の行為は自動車の管理義務に反するものであると主張する。しかしながら同法は道路使用の適正、道路交通の円滑を図る目的で立法されたものであつて、自動車の盗難ないしは無断運転を防ぐということとは直接の関係がないから、同法に違反したか否かは自動車の盗難ないしは無断運転をされないよう自動車の管理義務を尽したか否かとは関係がないと言わなければならない。

結局同被告には本件事故と相当因果関係のある自動車の管理義務についての過失はないというべく、従つてまた被告会社がたとえ右の被告渡辺の行為を承認していたとしても被告会社にもまた過失が認められないのは当然である。

さらに被告会社の使用者責任も、前提となる被用者である被告渡辺の過失が認められない以上また認められない。

して見ると原告主張の爾余の点につき判断するまでもなく原告の被告渡辺および被告会社に対する請求はいずれも理由がないことに帰する。

第三、損害

一、受傷(傷害の内容、治療および期間、後遺症)

<証拠>を総合すると左の事実が認められる。

(一)  傷害の内容

原告主張どおりの傷害を受けたこと。

(二)  治療および期間

原告は右傷害のため、昭和四四年一一月四日から同四五年二月一五日まで(一〇四日間)辻外科医院に入院して、左膝下部一三糎のところで切断、その他皮膚移植等の治療を受け、退院後、同年七月八日まで(実治療日数一五日)同医院に通院して治療を受けたこと。

(三)、後遺症

左下腿膝下一三糎のところでの切断による一下肢足関節以上で失つた後遺症があること。

以上の事実が認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

二損害額

(一)  療養関係費

1 辻外科医院入・通院治療費、金一二二、五二七円<証拠略>

2 義足代 金四八、一〇〇円

<証拠略>

(二)  逸失利益

1 職業および収入

原告が本件事故当時満二四才であり富喜寿司の調理師見習であつた事実は原告と被告古田の間に争いがなく、<証拠>を総合すると、原告は一七才で板前見習として寿司屋に入り、事故当時には約七年間の修業を積み一人前の板前になつていたこと、事故当時勤めていた富喜寿司は大阪でも一流の寿司店であり、原告のため将来性のある職場であつたこと、一般に板前は一人前になれば他の店に板前職人として勤務し、さらに将来は独立して店をもつのが普通であること、原告も他店へ勤めに出ることになつていたが、富喜寿司で板前が不足していたためにその時期が延びていて、事故当時約八カ月位後に就職の予定であつたこと、原告は事故当時富喜寿司より毎月三七、二六七円の給与を得ていたが、他店に勤めた場合その収入は毎月五〇、〇〇〇円を下ることがなかつたであろうこと、原告は昭和二〇年七月三〇日生れで事故当時普通健康体の男子であつたこと、事故後昭和四五年七月初旬ごろまでの約八か月間は事故による受傷のため全く就労することができなかつたことが認められ、ほかに右認定を覆すに足りる証拠はない。

2 休業損害

原告は八か月間就労できず、その間一か月三七、二六七円の給与を得ることができなかつたのであるから右喪失した得べかりし利得の額は二九八、一三六円である。

(算式三七、二六七円×八(月)=二九八、一三六円

3 後遺症による将来の逸失利益

原告は事故当時満二四才であつたから、本件事故がなければなお三九年間は就労可能であると推測されるところ、前記後遺症のため労働能力の六〇%を喪失したものと認められる。

そこで原告の後遺症による将来の逸失利益を年毎ホフマン式計算方法により年五分の割合による中間利息を控除して、昭和四六年二月一九日(本訴請求における遅延損害金の起算日)における現価を求めると七、六七一、二四〇円となる。

(算式50,000円×12(月)×0.6×21.309=7,671,240円)

(三)  慰藉料

前示認定の原告の受傷の部位、程度、治療経過および後遺症の程度等諸般の事情を考慮すれば、原告の本件事故による慰藉料は二、八〇〇、〇〇〇円をもつて相当と認める。

(四)  弁護士費用

本件事案の難易、審理の経過、前記認容額等本訴に現われた一切の事情に照すと原告が本件事故と相当因果関係にある損害として被告古田に賠償を求めうる弁護士費用の額は五〇〇、〇〇〇円と認めるのが相当である。

第四、結論

よつて被告古田は原告に対し第三の二の(一)ないし(四)の合計金一一、四四〇、〇〇三円およびこれから第三の二の(四)の弁護士費用を控除した九、九四〇、〇〇三円に対する本件不法行為の日の後であり本件訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和四六年二月一九日から支払ずみに至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払義務があるから、原告の本訴請求は正当として全部これを認容し、原告の被告渡辺および被告会社に対する請求はいずれも理由なしとして棄却し、訴訟費用の負担につき、民訴法八九条九二条、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(本井巽 鈴木純雄 中辻孝夫)

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